694人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺がお前に教えようとしている投球術には背筋がものすごく重要なんだ。それで背筋を鍛えるための、うってつけの場所にこれから行く」
広志は少し偉そうに言った。
「その背筋を鍛えるための場所と農作業の農具と関係があるんですか?」
蒼空は訳が分からない感じで尋ねた。
「そうなんだよ、青年。大いに関係がある。とにもかくにも行こう」
広志は笑いながら蒼空を促した。蒼空が歩実の方をみると浮かない顔をしていた。蒼空はそんな歩実のことが気になっていた。
「よし、ここだ」
十五分ぐらい車を走らせたところで広志は車を止めた。
「ん、ここは?」
蒼空が辺りを見渡すとそこは貸し畑だった。区画が整然とされていていろんな植物が植えられていた。食べる物が多かった。
「ほらよっ。蒼空はこれを使え」
広志が差し出したのは鍬(すき)だった。
「これは何ですか?」
トレーニングと鍬が結びつかない蒼空は質問した。
「これはな、鍬といって畑を耕す道具さ。ほら、こうやって使うんだ」
そう言うと広志は鍬を使って畑を耕し始めた…
最初のコメントを投稿しよう!