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佐野からメジャーを取り上げたのは、原田と同じ三年生の清原圭介だった。
清原圭介は北陵高校屈指のスラッガーで不動の四番バッターだ。
いよいよ、遠投の入部テストが始まった。一年生部員たちはドキドキしながら自分の順番を待っていた。
「よし、まずは右端のお前からだ」
「げっ…俺からかよ。参ったなぁ」
原田主将が指名したのは上園だった。上園はいきなり指名されて驚いた。しかし口では驚いたものの上園はもともとキャッチャーだったので、実際のところ遠投には自信があった。
「おーい、一年サッサと投げろ。名前とクラスとやりたいポジションを言うんだ」
もったいぶってなかなか投げない上園に原田主将は活を入れた。
「上園彰。1年3組、ライト志望」
上園はそう叫ぶと、3年生の安藤に手渡されたボールを力いっぱい投げた。
「え~いっ」
上園の投げたボールはきれいな放物線を描いて飛んで行った…
「すげぇ飛んだな。あれで何メートルなんだ?」
「俺はあんなに飛ばねえよ。やばい、やばい」
上園の投げたボールの軌道を見て他の1年生たちがびっくりしている。
「飛距離はまあまあってところかな」
上園はちょっと自信ありげに呟いた。
距離を測っていた清原が大声で原田に知らせ言った。
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