投球フォームを完成させろ。

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秋になり一、二年生だけの新チームが結成された。蒼空はもちろんスタメンには入ることはできなかった。ただし蒼空の体は広志の独特の特訓?で一回り大きくなっていた。 「いいか、蒼空。無理な練習は体を悪くする。練習は日常生活の中からする方が体にはいいんだ。妊婦も体を動かすような日常生活をしていた方が、元気な子を産み易いだろう?」 「はいっ」 支離滅裂な論法ではあったが蒼空は従っていた。そんな蒼空のことを哀れむ歩実だった。 「おい、蒼空。そろそろ投球フォームを作って行こうか?」 そんなある日、広志は突然言い出した。そして蒼空に提案した投球フォームは変わったものだった。 「いいか、蒼空。俺のフォームを真似てみろ」 「へぇー変わってますね」 広志の投げるフォームに感心して蒼空は言った。 「これはな、トルネード投法と言って背筋が強くなければ投げられないのだ」 「トルネード投法?だからぼくの背筋を…」 広志のフォームは蒼空にとって聞いたことも見たこともない投げ方だった。  
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