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「蒼空、この投球フォームはな、昔ドジャースにいた野茂というピッチャーが投げていた」
「野茂投手?大リーガーですか?」
「その通りだ。トルネード投法は、俺は捻転投法の最終形だと思っている」
「捻転投法と言えば、レッドソックス松崎投手が投げていた?」
「そうだ。腰を大きく捻って、弓のように上体を反らせその反動で投げる」
繰り返して投げる真似をする広志を賛嘆の眼差しで蒼空は見ていた。
「ぼくにも出来るかな…」
「おい、おい、そんな弱気でどうする?やるんだ。お前なら出来る」
「分かったよ。おじさん」
「よし、早速タオルを持ってフォームの練習だ。トルネード投法をお前のものにしてみろ」
「はい!」
それからタオルを用いての練習が始まった。蒼空は明けても暮れてもピッチングフォーム造りに励んだ。
十二月も半ばになり蒼空の投球フォームが完成した。トルネード投法によるピッチングである。
「よし、蒼空。俺のミットに投げ込んで来い」
「はい」
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