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「えっ、同じクラスだよ。知らなかった?」
歩実の答えは二人をさらに気まずい思いにするものだった。後の会話が続かないのだ。
「……」
再び沈黙が訪れ、二人はしばらく無言で歩いていた。
蒼空の様子を見ていると落ち着きがなかった。歩実は知らない女の子と歩いているで落ち着きがないのだろうと思った。
「あのさ…」
「蒼空君、ここよ。見覚えない?」
歩実は蒼空の話を遮ってしまったが、話し出してしまった。そして横島整形外科と書かれた看板に指を向けた。
蒼空の呟く声が聞こえる。
「横島整形外科…」
歩実が蒼空の顔を見ていると途端に蒼空の顔が曇り始めたのが分かった。
「あのさ、ここの病院って、ぼくあまりいい思い出がないんだよね」
蒼空がさも話したくないという感じで言ってきた。歩実にもその気持ちが伝わってきた。
「実はそのことで蒼空君に話しがあるんだ」
歩実は緊張の色を隠しきれない蒼空に向かって言った。
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