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「そうよね。五年も経つのよね…あたしのお母さんがここの病院の看護師だって話はしたわね?」
蒼空が歩実の話に頷いている。
「秋山さんはぼくに会ったわけではないんでしょう。どうしてその時の子がぼくだって分かるの?」
「……」
蒼空の質問に歩実は答えないことにした。実際に見てもらった方が手っ取り早いと思ったのだ。それで横島整形の裏口の方へ移動することにした。
歩実は自分の行動が蒼空に見られていることを意識した。しかしここでためらうのもどうかと思っい、勇気を振り絞って病院の裏口にあるドアのぶを回した。
「あっ…」
蒼空の驚く声が聞こえた。当然のことだろう。歩実は犯罪に近い行為をしているのだ。
「大丈夫よ。もうこの病院は使われていないから。それに廃墟になっているわ」
歩実は半ば自分に言い聞かせるように蒼空に答えた。蒼空の方を見ると不安そうな表情が伺えた。
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