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「あたし、実はその日、病院が終わったら、お母さんと買い物に行く予定だったの。それでナースの詰め所にいたのよ。仲良しの看護師さんと話していると、院長とあなたたち親子の話し声が聞こえてきちゃった」
歩実は一気に話をすることにした。蒼空と話しをしている方が廃墟の病院にいる恐怖心を忘れることが出来る。
(蒼空君は何を考えているのかな?あたしの話に驚いているかな…)
「院長先生にあなたのひじは、もうダメだから野球を辞めるように言われたでしょう?」
蒼空の顔が遠くを見る目となっていた。と言っても歩実には暗くて蒼空の表情はよく見ることは出来なかったが。
「ここにいて大丈夫かな?」
(蒼空君もやっぱり怖いのかな?それとも話しをそらそうとしている?)
「うふふ…もしかして蒼空君、怖いの?」
男の子が怖がっているのがちょっと歩実はおかしかった。
「ま、まさかっ。ただこんなところに入っていいのかなと思って…」
「大丈夫よ。それにこの病院は何度も来ているんだもの少しくらい暗くても心配ないわ」
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