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「えっ?ぼくのことを」
「そっ、あなたことを…あたしが蒼空君だったらどうしょうって。あたしが好きなことをやるんじゃないって言われたらどうするんだろうなって…」
「……」
「それからしばらく経って新聞で、子どもの野球ひじの特集の記事を見つけたわ」
歩実は嬉しそうに言った。
「野球ひじの特集?」
「そうよ。子どもの野球ひじは治る可能性が高いって」
歩実は自慢そうに言った。新聞の「名医に相談」という記事をたまたま見つけたのだ。
「ふぅ~ん」
「あたしあなたにもう一度会えないかなって願ってた。そして、入部テストであなたの名前を聞いてびっくりしたわ。横島病院にいたあの子に違いないかもって思った。しかもまだ野球をやってたなんて…」
「辞められなかったんだ…」
蒼空はボソッと言った。
「あたしね、あなたが野球をまだやっててすごく嬉しかったわ」
「……」
歩実は自分の気持ちを言うのが恥ずかしかった。まるで告白のようだからだ。蒼空が自分のことをどう思っているのかとても気になっきた。
「……」
蒼空は何かを考えているようだった。歩実はさらに話を切り出すことにした。
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