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蒼空がいないことに気付いた上園がキョロキョロ辺りを見回して言った。
「あれ?蒼空がいないや。あいつどこへ行ったんだ?」
「倖田か?あいつならサッサと家に帰ったみたいだぞ。この雨だから、少年団の野球の練習も中止だもんな」
上園の独り言を聞いていたクラスメートの柴田悟が言った。
「クソっ。なんてこった!」
上園は悪態をついた。
「彰、倖田なんてほっとけ、ほっとけ。それより今日は練習ないんだろう?“どろけい”やろうぜ」
上園の肩を掴んでクラスメートの井上友希も声をかけてきた。
他のクラスメートも井上に加わり言った。
「よし、やろうぜ。俺はドロボウになるぜ!」
「おう」
盛り上がるクラスメートとは違い、上園は未練がましく蒼空の帰った教室のドアを見ていた…
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