プロローグ

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  横島は少年を突き放すように言った。 「諦めるんだな。野球はもうやらない方がいいだろう」 歩実は突き放すように言う横島院長の声を聞いて、ますます横島が嫌いになった。 少年の母親らしい声が聞こえてきた。 「うちの子、本当に野球が出来ないんですか?この子、野球が好きで好きでたまらないんです」 横島は少し怒気を含んだ声で言った。 「くどい。私の診断に難癖を付けるつもりか?素人に何が分かる?何なら他の医者に診てもらうんですな。結果は同じだよ」 がっくりと肩を落とす親子の姿がはっきりと感じとれた。 歩実は横島と少年とのやり取りが気になり、落ち着きがなくなってきた。 そんな歩実の様子を敏感に感じ取って看護師は言った。 「あの子には可哀想だけど、関わらない方がいいわよ。何もわたしたちには出来ないんだから」 「でも…」 しかし歩実は気になって仕方がなかった。とうとう看護師に言った。 「あたし、ちょっとトイレに行ってくる」 そう言うと歩実はナース詰め所を飛び出した…
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