プロローグ

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  しかし歩実にはかける言葉がなかった。 (あたし、何を言うためにこの子を捜していたんだろう…) 逆に疑問が生じたのだ。 (何か言わないと。何か言わないと…) 気持ちだけが歩実は焦ってきた。2人の間に長い沈黙が生じた。 「あの…」 歩実は勇気を出して蒼空に話し掛けた。 「蒼空、帰るわよ。どこにいるの?」 少年の母親が呼んでいるのだ。少年は不思議そうな顔を歩実に向けトイレから出て行った… (あっ…失敗しちゃった…) 歩実は自分が情けないと思いながらしばらく男性トイレで呆然としていた…  
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