†お茶会†

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*** ハァ……  ハァ……   ハァ…… 身体が、重い。 いや、違う……。 ……違うのだけれど、 とても重苦しい。 「……早く、行かないと」 身体から力が抜けていく。 こうなることはわかっていた。 僕はもう、――《残像》でしかないのだから……。 だけど、それでも。 「早く、行かなきゃ……アリスの為に」 抱えた荷物を一度下ろし、大きな帽子の鍔(つば)をキュッと握った。 「これは……みんなに怒られるかな……」 自嘲っぽく笑ってから、もう一度腕に力を入れて荷物を抱え込む。 月は既に三日月を越した。もう時間にも僕にも、余裕がない。 少しでも力を抜くことは出来ない。 まだ、もう少し……。 もう少しだけ……存在することを許して下さい……。  
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