†お茶会†

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「わあっ!」 目の前に広がっていた景色に、思わず歓声を上げた。 グリフォンに乗っていた時はルリ君とレンゲに気を取られてわからなかったけれど、“安らぎの森”を抜けると大きな湖があった。綺麗な湖畔。それは快晴の空を青々と映している。 その向こう側、山の中腹辺りに青い城が聳(そび)えていた。此処に来た時には遥か遠くに見えていたのに、もうこんなに近くまで来たのかと、何だか身体の力が少し抜けた。 「あれ、目指してるお城だよね?」 「そう……君の目的地」 ルリ君は心地好い風を身に受けながら答えた。 お城の周りには花がたくさん咲いているようで、此処からでもカラフルな色彩が認知出来る。 感動とルリ君の返答で感極まった私は、「うーっ!」と伸びを一つ。そして、湖目掛けて駆け出した。 湖の縁に寄ると、水が透き通っていて底がよく見える。新鮮さを一層感じて、湖の水を手で掬って飲んでみた。 美味しい。 もしかしたら、スーパーで売ってる『おいしい水』の何倍も美味しいかもしれない。 本当に美しい国だと息をついていると、二人が後ろから私に温かい眼差しを向けながら近付いてきた。  
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