†お茶会†

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間違いだと、思いたかった。 「いやあああああああああぁぁっ!!!」 見間違いだと疑いたくても、ゆらゆらと漂うそれの先には引き千切られた人の臓物らしき物体。生々しい人の中身がふよふよと浮かんでいる。 澱んでいるあれは、大量の血。その証拠に、臓物の先には金髪の女性らしきもの。 だけど、それ以上は何もわからないほど水を含み、真ん中で千切られかけた身体は脊髄が辛うじて繋いでいるだけ。 「アリスッ!!」 すぐレンゲが目を塞いでくれたけれど、その惨状は生々しく目に焼き付いていて 「ぅ……おぉうう゛ぅえ゛え゛えぇぇ……っ!!」 激しく嘔吐した。体の中を空っぽにするほどに。 「……アリス」 嘔吐が収まって荒々しく息をする私を、レンゲがぎゅっと抱き締めてくれる。そして、そっと耳元で囁いた。 「私達のアリス……大丈夫……。此処には貴女の嫌なものなんて、何もないわ……」 とても優しい口調で言うと、そっと目隠しを外された。 もう目を閉じるという行為すら忘れるほど放心していたが、帽子屋屋敷でそうだったように、そこには何もなかった。 全てが幻覚だったかのように……。
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