†お茶会†

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荒い息を繰り返して落ち着こうとするも、やはり先程の惨劇が目に焼き付いて離れない。おぞましくて恐ろしくて、全身の震えが止まらない。 「……アリス」 レンゲがもう一度、私をふわっと包み込んでそっと頭を撫でた瞬間に、また、嫌な感情が全て抜け落ちていくような気がした。惨殺体の事が全て朧気になったような気が。 「……ぁ……レン、ゲ……」 言葉さえ発することが出来なかった私に、声が戻ってきた。 それに安心したような笑みを浮かべると、レンゲはそっと私を離した。 その刹那だった。 「レンゲ!!」 罵声と共に響く、風船が破裂したような音。 ルリ君がレンゲの頬を叩いたのだ。それも、真っ赤になるほど強く。 レンゲも呆然とした顔をしていたけれど、私は彼女より早く我に返ってルリ君を見た。というよりは、睨んだ。 今までみんな私への嫉妬でもめたり言い争ったりしていたけれど、今のは酷すぎる! そう抗議しようとしたけど、何も言えなくなった。 ルリ君が真剣な表情で怒りを露にし、同時に辛そうな表情をしていたから。  
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