†お茶会†

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しばらくその言葉に首を傾げていたが、グリフォンがそれ以上口を開くことはなかった。 キョロキョロと辺りを見回してから、ふと思って尋ねる。 「ねぇ、アルデオは?」 “アルは俺にアリスを頼んで屋敷に残った。つか、お前呼び捨てってな……ま、いいけどよ” 「そっか、お礼言いたかったのにな」 “……” 最後の方の言葉を無視したことがそんなにショックだったのか、アルデオに『これ』と言われた時と同じ表情でぶつぶつと不満を漏らすグリフォン。 やっとグリフォンから一本取ってやったと、私は彼にわからないようにほくそ笑んだ。 “……アリス” 「何?」 間を空けて、グリフォンは真剣な声で口を開いた。 “俺達の審判を受けかけたことで記憶が少しずつ明瞭になっているはずだ” 「どういうこと?」 “さっきの夢も、その影響。だから、今までわからなかったこともわかるようになり、不安も今以上に増える。だが……自分を見失うなよ” 私にはそれが矛盾しているように聞こえた。 だって、今まで何を言われても意味がわからなかったから不安になったけど、逆にわかるようになったら安心するものじゃない?
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