†お茶会†

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“ま、きっとすぐわかるさ” いつも含みのある言葉を言ってから、それをごまかすような言い方をする彼に頬を脹らませていると、 “怒るなよ! その内すぐわかるようになる” あ。聞こえたんだ。 慌てた彼の声に笑いながら、私は辺りを見渡した。 本当にこの国は絶景ばかりだ。空を飛ぶことでそれがよくわかる。 「いいね、空を飛べるのって……」 “アリスはいつもそう言いやがるなあ” 何だか懐かしむような口調に驚きながら聞き返す。 「いつも?」 “チビアリスもそう言ってやがった” 「チ、チビアリスって……」 “要はお前が餓鬼ん頃だ。普段は俺に寄り付かねぇ癖に、この姿になったらすぐ乗せろってうるさかったからな” 「そうなんだ」と相槌を打ちながら、正直物凄く納得していた。 だって、グリフォン怖いもん。 “……もう着くぞ” 拗ねたように呟くグリフォンの言葉に、「えぇ!」と思わず叫んでしまった。 「もう着いちゃうの!?」 グリフォンは満足したように笑っていた。 “またいつか乗せてやるよ” その言葉とほぼ同時に、少しずつ高度を落としていく。  
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