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4月のまだ冬を忘れきれない風がハルの頬をつたう。
ここは弥勒町、そして少年ハルがいるのは、町でもっとも高い電波搭のてっぺん。
辺りは静まり返り、満月が夜中の町を照らす。
「時間だ」
ハルがつぶやくと、頭上に円の形をした、いかにも重量感ある鉄の扉が出現した。
ゆっくりと手を真上へ伸ばし、ゆっくりとあける。
鉄の扉がこすれあい冷めた金属音がなる
「黒の扉(ダークワールド)!!」
叫ぶと、扉からは黒い気流が出て来ると同時にハルの体を包む。
それは数秒もしないうちに空気と同化した。
そして中から現れたのは奇怪な表情の白い髪の少年だった。
同時に扉は出てきたときと同じように消えていく。
腰に刺した長さ2mほどの長い刀を手に持つと、ゆっくりと引き抜き天に掲げる。
刀の刀身は暗黒色でしかし、月明かりを無数の方へ反射して、見るものを吸い込むような美しさを持っている。
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