第一章【隊長の、ヒミツ】

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「情報によれば悪鬼がいる場所は【サイフォース】と呼ばれる、魔力の磁場がある場所だ」  相模がホワイトボードに貼ってある地図を使い、場所を示す。西国の首都つまり、ここ【アーチテラス】より北に位置する場所のようだ。 「魔力の磁場は悪鬼を呼び寄せるからおかしなことではないんだけど……大きすぎるんだよね。レーダーに映ったのはまるで突然変異みたいな反応だったよ」  相模はそう言って腕組みをする。部屋の中でも白いコートを脱がないのは拘りかなんかなんだろうか。 「で、でも……今こうしている間にも人が襲われてるんじゃ!」  ユウイは相模に掴みかかる勢いで体を乗り出す。 「あぁ、それなら心配ないよ。さっきも言ったように【サイフォース】は魔力の磁場がある地域だ。自然の魔力を守るために立ち入り禁止地区になってる。まぁ、急ぐに越したことはないけどさ。じゃあ行こうか、櫻庭、ユウイちゃん」  その言葉に、櫻庭が微かに驚いた表情を浮かべる。 「珍しいな、お前が自分から行くのは……」 「そう? ユウイちゃんがあまりにも必死だったからさぁ」  そう言って相模はユウイの頭を撫でる。 「こっ、子供扱いしないで下さいよ相模隊長!」  ユウイは怒ったように相模に向かい叫んだが、相模はにこにこしながら気がすむまで撫で続けていた。
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