第一章【隊長の、ヒミツ】

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 ユウイが瞳を開くと、そこは作戦室ではなく、山の中だった。  霧が立ち込め、小雨が降っている。生温い空気が、いかにも何か出そうな雰囲気をかもしだしている。 「なんか気味悪くないですか……?」  ユウイがそう呟いたが、返事が帰ってくることはない。 「ちょっと、返事くらいしてくださいよ二人と……も?」  ユウイが辺りを見回すが、二人の姿はない。腕時計の通信機能を使おうとしても、全く反応がない。 「あっ……あの時壊れたまま……」  この腕時計は先の戦いでユウイが転倒した時壊れたものだった。 「どうしよう……」  雨は次第に強まり、戻ることすらできないユウイは、何かを決意したように歩き始める。
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