序章【始まりの、ニンム】

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 晴れ渡り、澄みきった空。雲一つなく、太陽が美しい草原を照らし続ける。その太陽の下、一人の少女が走っていた。 「はっ……はぁっ……いっ、いつまで走ればいいんですかぁっ!?」  赤い肩くらいまでの髪と、黄緑色の澄んだ瞳。額に汗を浮かべながら、少女は止まることなく走り続ける。  草の茂みの中から、少女を追うように黒い液体が流れ出る。 【まだだ、完全に実体化するまで全力で走れ!】  低い、怒鳴るような声が、彼女の腕時計に仕込まれた装置から聴こえる。赤い髪の少女は走りながら、その声に向かい怒鳴った。 「そ、そんなこと言われても! 櫻庭副隊長!」  その時、少女の足が絵に書いたように綺麗に縺れ、そのまま転倒する。  腕時計から舌打ちが聴こえ、少女は立ち上がる前に後ろを振り返った。image=358079332.jpg
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