序章【始まりの、ニンム】

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「《斬・焔(ザン・ホムラ)》!!」  その声に合わせ、弧状の炎が悪鬼の腕、いや――触手を切断する。少女が解放され咳き込んでいると急に太陽光が遮断され涼しくなる。  そこにいたのは先程まで少女と会話していた上司だった。とたんに少女の表情がぱぁっと明るくなる。 「さ、櫻庭副隊長! 助けていただき」  櫻庭と呼ばれたのは長い黒髪を下の方で縛り、黒い鋭い左目を持った右目や体全身を包帯で覆っている黒衣の男。彼は面倒そうに少女の言葉を右手で制す。 「それは後だ。まずはコイツを片付ける。お前はもういいから下がってろ」  櫻庭はそう言うと、術式の描かれた札を数枚懐から取り出す。  少女は櫻庭に言われた通り数メートル後ろに下がった。
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