第一章【隊長の、ヒミツ】

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 医務室に向かうユウイに、近づく影があった。気配を殺し一気に距離を詰め、背後から両手で包むように、ユウイの両目を塞ぐ。 「だーれだっ?」  その声は人をからかうような――あるいはバカにしたような、確実に彼女の反応を楽しんでいる声。 「ひゃっ……」  ユウイは何が起こったかわからず、そのまま放心状態に陥る。 「さ、相模(サガミ)部隊長……です、か?」  ユウイのその返答に、その人物は両手をぱっと離す。  ユウイの瞳に映ったのは、綺麗な白髪に蒼い瞳をした若い男性。ベージュを基調とした鬼狩の第三部隊の制服に白いコートを羽織り、部隊長の証の赤いネクタイと、同じく部隊長の証である【エーデルワイス】を模した銀色のバッジを胸に着けている。  その表情は笑顔で、普段からぶっきらぼうな櫻庭とは対照的だ。image=358603507.jpg
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