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頬に当たるザラザラとした感触。
手足が冷たく感じる。
そんな不快感から、政宗はゆっくりと目を開けた。
「Ah!?」
飛び起きたのは、自分が横たわっていたのが外だと気付いたからだ。
まだ薄暗い空、ぱらぱらと雨が降っている。
「ここは……どこだ?」
見覚えのない場所。
地面は土ではない、灰色の硬いもので被われている。
整備された道のようだ。
辺りの木々も手入れされているように見える。
「ちょっと、待て」
はっと我に返り、昨日の記憶を辿る。
昨日は小十郎と遅くまで酒を飲み、そのまま執務室で眠ったはずだ。
それが、目を開けたら全く違う場所にいる。
「sit……」
何者かに襲われ、見知らぬ場所に捨てられたというのか。
その事に気づかないほど眠っていたなんてことがあるのか。
政宗は頭をガシガシと掻くが、やはりそれ以上思い出されるものはない。
その時、近付いてくる人の足音が聞こえてきた。
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