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明らかに怪しい。
雨の中傘もささず、しかも祭りでもないのに浴衣姿。
関わらない方が良いと判断した徠絆は距離を取って、そのまま通り過ぎようとした。
「Wait a minute!」
「……英語?」
思わず足を止めた徠絆に、浴衣姿の男ー政宗ーが近付く。
「ここはどこだ」
「は?」
予想外の問に驚く徠絆だったが、政宗の目は至極真面目なものだった。
「ここは、桜の丘公園っていう公園だけど」
「公園?」
訝しげな表情を浮かべる政宗に、徠絆も首を傾げる。
ばちっと目が合った瞬間、政宗の隻眼が大きく見開いた。
「アンタ……いや、なんでもねぇ」
何かを言いかけた政宗だったが、言葉を濁した。
「てかさ、こんなとこで雨に濡れて何やってたの?」
「わからねぇ、気付いたらここにいた」
そう言って濡れた髪をかき上げる政宗を徠絆はまじまじと見る。
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