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朝の五時半。
いつものように朝稽古が始まる。
ただそこに徠絆兄の姿がなかった。
心なしか志絆兄がピリッとしている。
「よし、はじ」
志絆兄の声を遮るように、思い切り開けられた道場の戸。
そこにはゼーハーゼーハーと荒い息をする徠絆兄の姿があった。
「志絆兄、はぁ、セーフ?」
息を整えつつ座禅を組む徠絆兄に、志絆兄が溜め息をつく。
「ギリギリアウトだ」
「んなっ、二分!たった二分だよっ!?」
「話は後だ、はじめるぞ」
志絆兄は有無を言わせず、いつも通り稽古を始める。
志絆兄は時間や約束ごとにとても厳しい。
そして、そのルールを破ってしまうのはいつも徠絆兄だ。
(どんまい)
がっくりとうなだれる徠絆兄に心の中でそう呟いた。
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