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開けられたドアの先、立ち尽くす一人の男。
それはもう二度と会えないと思っていた、恋い焦がれる男に酷く似ていた。
ジーンズに黒いTシャツを着た隻眼の男。
その隻眼の男も目を見開き、固まっている。
「な、ぎ?」
喋った。
隻眼の男が私の名を呼んだ。
まさか、本物なの……?
「政、宗」
一年振りに声に出した名前。
思い出す度に酷く胸が痛み、愛しさが募ったその名前。
理由なんてわからない。
でも、政宗がいる。
手の届く距離に。
触れようとした時、ぼふっと頭の上に手が乗せられた。
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