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「おー政宗。これ、俺の妹の凪なー」
私の頭に手を乗せたのは徠絆兄だ。
普通に私のことを紹介してる。
「可愛いからって手出すなよ、上の兄貴達が怖ぇぞ」
冗談を言って笑う徠絆兄だが、今はそんなことを言ってる場合ではない。
「徠絆兄!政宗と知り合いなの!?」
ばっと振り向き詰め寄る。
「あ?あぁ、今朝……拾った」
私の剣幕に驚きながらも、そう答えた。
拾ったって、政宗を?
それって、どういうこと?
徠絆兄に更に話を聞こうとした時、ぐっと腕を引かれた。
「Sorry徠絆、手ならもう出しちまったぜ」
後ろから抱き締められる形で収まった私の耳元で、そんなことを言うものだから、一気に顔が熱くなる。
「ちょ、政宗」
恥ずかしさから、腕の中から逃げようともがくが、政宗は離してくれる気がないらしい。
びくともしない。
チラッと視線を向ければ、口角を上げて笑う政宗が目の前にいる。
心臓が跳ねて、また体温が上がった気がする。
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