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「ゴホンッ!」
あからさまな大きな咳払いに目を移せば、顔をひきつらせた志絆兄がいた。
「えーと、なんだろ?この状況」
ぽりぽりと頬を掻く恋絆兄は呆れ顔だ。
そして私自身もなんだかとても面倒くさいことになった気がする。
「政宗、とりあえず、ちょっと離してくれる?」
政宗に抱き締められている状況での説明は不可能だ。
特に志絆兄の視線が怖い。
言うなら、親に彼氏や彼女といちゃついてる場面を見られてしまった、といった感じだろうか。
体の熱がさーっと引いていく。
「ここは凪が生まれ育った時代なのか」
ようやく解放してくれた政宗の問いに、私は頷いた。
「あぁ、私が生まれ育った場所。戦国の世から400年程経った世界だ」
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