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「凪」
名を呼べば、その瞳が俺を見る。
以前より伸びた髪に触れれば、凪の頬がほんのりと染まる。
「ずっと、会いたかった」
その言葉と共にキスをする。
「な、凪、どうした?」
凪が泣いている。
キスしたらまずかったか。
凪はもう俺と同じ気持ちじゃなかったのか。
否応なしに悲観的な考えが頭を巡る。
「もう、二度と会えないと思ってた。だから、政宗のこと忘れようとした」
震える声で凪が言う。
「でも、忘れられなかった。忘れようとすればするほど政宗のことを思い出して、まだこんなに好きなんだって思い知らされて、だから」
潤んだ瞳が俺を見つめる。
「言葉に出来ないぐらい、嬉しい」
そう言って微笑む凪に、俺の理性は崩壊した。
「凪、愛してる。会えなかった一年間もずっと凪だけを想ってた」
「政宗……私も、愛し」
最後まで言葉を聞く余裕がなかった。
触れた凪の唇。
伝わる温もり。
もっともっと感じたくて。
口づけは次第に深くなっていく。
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