メタモル

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体の怠さのせいで帰り支度が思ったより手間取り、鞄だけ持って帰ることにした。 俺が教室に戻るとナオキとかヒデちゃんを中心に「どうしたん?帰るん?大丈夫?」の嵐あらしアラシ。 風邪で40℃あんだよ。 キツイんだって。 帰って病院いくよ。 大丈夫だって。 部活は行かねぇ、ってか行けねえから。 と言いつつヨタヨタ教室から出る。 皆の心配はありがたいけど、正直ウザイんだよ。 熱あって話すんのもキツイだって、そんな俺を囲んで質問責めはないっしょ。 でも、やっぱ全く無関心なのも寂しいし、要はバランスだよバランス。 程よく構って、なんて勝手なコトを考える構ってちゃんな俺はわがままだと思った。 保健室で家族の迎えを待ち家に帰って病院へ行った。 母の後ろを歩いて、病院の駐輪場に差し掛かった時に、頭の中身がひっくり返るような間隔に襲われたと思ったらそのまま本日ニ度目の失神。 うはぁ、俺身体よわっ、と新しい自分の発見。 気がつくと、俺の右ほっぺには冷たいアスファルトがくっついていて、目の前には細いタイヤがある。 どうやら自転車を巻き添えにして倒れたらしく、俺はゆっくりと立ち上がる。 一緒にいたはずの母の姿が見当たらないので、辺りを見回すがいない。 額の右から汗が大量に流れているのに気がつき袖で拭うと、袖が真っ赤になった。 うわぁっちょ、血でてんじゃん、うわとまんねぇし、ヤバイんじゃね? てかなんかデコがイテエよ、なんかデコの皮膚が剥けてんじゃねぇ? うはぁヤバイと一人焦ってると母が医者と戻ってきた。 「おい、ちょっドコ行ってたん?俺倒れてんのに」 「いやあんた頭打ったでしょう、動かしちゃいけないと思って先生呼んで来たのよ。ま、でも大丈夫そうね」 「大丈夫じゃないって、ほら血、血がこんな出てんだって」 「そんな量の血で驚くのね、大きくなったと思ってたけど、あんたもまだまだね。いい?お母さんなんかね、毎月それ以上の血が股から出てんだって、だから大丈夫よ」 その発言でその場は収まり病院に入って、診察を受けることになった。
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