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追想
少しあーっと言ってしまうくらいの
暑さはひいて
ひぐらしの声が
風に乗って聞こえる
神社の杜の小影に
お世話になりながら
少年のように自転車を走らせた
今日を思い起こしている
空はだんだんとオレンジになり
二またになった木の
葉の裏を染めている
ああ せつない
君とここに居たら
僕は何を話しただろうか
とめどないありふれた
話でもして
君の笑顔が得られたのだろうか
そうだよ 答えは誰も知らない
夏の日の終わりに
消えてゆく一つの物語
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