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『――……全く、グェント局長もそろそろ電話ぐらい考え事せずに聞いてください――』
「えーと……すみません」
今のやり取り、なんだか昨日も聞いた気がする。
そう感じたグェントは昨日の事を思い出そうとし、すぐに止めた。
考えだすと一言も喋らず呆けてしまうのが自分の癖なのだから、また聞いてないと気付いた唐津に大声で叱られてしまうじゃないか。
考え込みたい衝動を抑えつつ、グェントは唐津の電話に意識を集中することにした。
電話なんてどうせ数分で終わるのだがら、さっさと終わらせればいい。
とりあえず仕事は全て終了させたから次の仕事が入らない限りお休みだし、その後に考え事をすればいいだろう。
と言う事に今更になって気がついたのはここだけの話である。
『――グェント局長の事です、全然聞いてなかったでしょうからもう一度言いますよ――』
「今度はちゃんと聞きますので、お願いします」
『――今日の早朝、知らせもなく突然送られてきた死送人(おくられびと)の正死審判をお願いしたいんです――』
さようなら、私のお休み。
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