死因裁判局正死審判課

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今更ではあるが、グェントと言う冥界人(よみびと)は髪とネクタイ以外は少しばかり地味な風貌である。 膝ほどもある淡いパステルブルーの髪は一つに纏めることなく背中で開放的に流し、ヘマタイトのような鈍く重い銀色の瞳は目をしっかりと覆い隠すほどの前髪で見えないようにしていた。 生活に必要な筋肉しかついていない細身の身体には黒いロングコートを羽織り、そのコートより少しばかり黒色が抑えられたカッターシャツと深紅のネクタイがグェントの胸元を少しばかり飾っている。 彼を見た時、一番目に留まるのは髪の毛よりも胸元の赤いネクタイだろう。 彼の左腕には派手過ぎない光沢を放つ、ミッドナイトブルーの布を黒が少し入った金縁をあしらった腕章がつけられていた。 その手元には書類を挟んだ青色のバインダーが握られている。
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