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とても見目麗しいと言う訳でもなく、更に最近数字名を持った新入りに等しい冥界人な彼は色々な部署に出向いても部署の下の人に気付いてもらえない事があった。
気付いてもらえないのはまだいいが、その部署の新入りと勘違いされて仕事をさせられた事だってあるのだ。
中でも一番酷い間違えは、冥界録管理課に出向いた時そこの下っ端役人に
『ここは死人(おくられびと)が来る場所じゃないけど』
と言われた事だろう。
その事件を風の噂で聞いたらしい冥界管理局長のエルゾは、管理局役員の冥界人全員に各部署を色分けした腕章を配布、グェントのような影が薄めな冥界人が役人だという証を目に見えるようにした訳だ。
第一部署は高貴な存在が纏う色とされる、紫。
第二は純粋の象徴と言われる潔白の白。
第三は地獄の釜の業火を表した黒が混じった赤。
第四は先程言った通りの、青である。
この腕章制度のおかげが、あの日以来新入りと間違われる事は全くと言って言いほどなくなったのはグェント的には嬉しい事であった。
――何か物悲しい気持ちにはなるが。
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