わたしとキリさんとアップリケ

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「……はれ…?」 目が覚めた……ということは私寝ちゃってたんですよね…。 「あ、起きたかエルー?」 声がした方向を見ると、なぜかボロボロのキリさんがいた。 「?……どうしたんですかキリさん?」 「…ああうん。それは気にしないでくれ…」 なぜか沈んだ様子のキリさん。よくわからないけど追求しちゃいけないのかな? 「…あ、そうだ。アップリケ…」 そこで私は今キリさんが私のアップリケを製作中であったことを思い出す。 キリさんのペースを考えると、今私が寝ている間にも結構な数作られているはず…。 …まぁその中に納得できる物があるとは思えませんが、一応見ておかなくては…。 「アップリケどこにありますか?」 「ん? あんたの袖につけといたよ」 「ああ私の袖ですか…………ってえ!? 袖!? ってことはもうつけたんですか!?」 「自信作だったからな」 「何勝手に付けてんですかぁ!!!!」 何でこの人こんなことしちゃうんですかねぇ! 私が可愛いと認めるまでって約束だったはずなのに! ダメだ! 自信作なんていわれても微塵も信用できない! あぁー…また3日くらい変なアップリケとすごさなきゃならないのかな………。 ほんのわずかな期待をこめて私は自分の袖を見る。 せめて! せめてダメージの少ない物を……! 「…ってあれ? え?」 でもそこにあったのは予想外の物だった。 「もしかしてこれって… ……私?」 そこには、デフォルメされた私を模したアップリケがつけられていた。 しかも…… 「可愛い……ですね…」 文句ない出来だった。 デフォルメされながらも細かく特徴を捉えられていて、なおかつアニメのキャラクターのようにかわいらしく作られている。 もちろん変なところなんて1つも無い。 「言っただろ? コンセプトが良けりゃいいんだって」 横を見ると、キリさんが満足そうに笑っていた。 しかもその言い方って……結局…そういう意味になっちゃうじゃないですか…。 自然と私の顔は赤くなってしまった。 「これならOKか?」 キリさんが誇らしげに言ってくる。 「…まぁ、さっき可愛いって言っちゃいましたしね…」 ちょっと悔しげに私は答えました。
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