囚われし躯

ある少年

少年は今日も盗みという犯罪を犯す。

そうすることでしか、彼には生きる術が無いことを彼自身が一番理解していた。

今日も大きい広場で公開処刑が行われている。

少年は知っている。

彼女達は魔女ではなく、ただの人間であることを。

少年の母親もこの魔女狩りの犠牲者の一人。

だから彼は一人ぼっちになった。

助けることは疎か、恐怖で震える母親を前に動くことが出来なかった。

そして少年は一人になった。

盗みを覚え、自らが食べる分だけの食料を抱え身を隠すように走った。