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少年の目の前を一人の少女が歩いていく。
それは例えることの出来ない、美しい横顔。
初めて少年は息を飲んだ。
そして初めてこの世界を憎んだ。
これから少女に起こることを知っているからか、それとも母親を思い出したからか。
少女は真っ直ぐ前を見つめているだけで、少年には気付かない。
少年は持っていた林檎を一口頬張ったが、何も味はしなかった。
ただ空腹を満たす為だけに、味の無い林檎をかじり続けた。
少年は思った。
『神は存在などしない。』
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