324人が本棚に入れています
本棚に追加
「ホントに知らないのアンタ…」
軽くため息を吐き、同僚は言葉を選び事務所の外を指す。そして。
「何かさ、朝いきなり襲われたらしいよ…」
「エッ?」
「だから、いきなり襲われたのよアンタの彼氏、何か腕を噛まれたらしくて、今警備員の詰め所で応急処置受けてるらしいよ」
「ウソッ…!」
顔面から血の気が引くのを感じる早苗、どうしたのだろうか、自分にとって何気ない冬の朝がいきなり、その色を変える。
いてもたってもいられない、早苗は椅子から立ち上がり詰め所に走り出す。
「ちょっと、早苗!朝礼は?」
「ゴメン!」
誰に謝罪した訳でもない、早苗は混乱した頭で何とかその言葉を紡ぎだし、事務所を後にする。
最初のコメントを投稿しよう!