1786人が本棚に入れています
本棚に追加
/1663ページ
「今日、一緒に来てみるか?」
「え!?暇じゃあないけど――行きたい!いいの?」
「あいつ等の仕事、全部見てんだろ?――俺も小野サンの仕事、直に今度見せてもらうっていう約束で」
「うん、コノイトさんのスケジュール合うなら約束する!――あの、カメラ…持って行っていい?」
コノイトさんは写さないから。
スタジオが撮りたい。
「スタッフに聞いて見る。ダメだったらゴメンな?」
「あと…。大人しくさせるから。ニノ呼んでもいい?」
――昨日からコノルンと居るぞって何度もメールしてるけど…アイツが飛びつきそうな内容のはずなのに返事がなくて。と心配そうに言うサトリに。
「あのなぁ」
俺がアイツ大ッ嫌いだって、御前解ってんのか!?
「でも俺と一緒なら、とりあえずケンカしないよね?」
こないだコノルンが出たMハリで、アイツ100枚もハガキ書いたのに当たんなかったって嘆いてたのがかわいそうで…。
ルンは舌打ちしながら。
「呼んでもいいけど…。馴れ合う気はねぇし一言も口利かねぇぞ!?――って云うか俺さっきから、御前に丸め込まれてばっかりじゃねえか?」
何でだよ、と苦笑い。
「ありがとう、ちょっと電話するね?」
携帯を掛け始めたサトリは、呼び出し音が切れて、
「あ、ニノ?」
と話し始めようとして、突然黙ってしまった。
「――まだ留守電…?」
何時もならメールは数時間以内に戻るし、留守電メッセージは深夜に入れたのに、どちらにも応答が全くないのは初めてで。
「またご自慢のジェットで国外逃亡じゃないの?」
「アイツが持ってるケータイ国際電話対応なんだよ。まあ、ちょくちょく連絡入れてみるしかないか…」
サトリは心配そうに言うが。ルンには壱成が応答してくれないほうが心穏やかで居られるからよかったと心から思った。
最初のコメントを投稿しよう!