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「確かに録音ブースだと、圏外になるかもなあ」
ゴメン、言ってなかった。と謝るルンに。
「ううん?大丈夫。とりあえず読んでレスしてみる」
と、開いたメールの表題は、
『RE:』で。
何時も面白い表題をつけてくる壱成にしては珍しくて。
こんな些細な事でサトリは不安を覚える。
本文も何時もより随分短い。
『レス遅くなってゴメン。
暫く連絡取れなくなるけど。
ルシフェル関係で何かあったら、アイダさんに相談して。
百歩譲ってルン君なら大歓迎だけど。間違っても弄られキャスターのトコとか行っちゃダメだからね。首飛ばされるよ』
心配しようにも、余りにも情報量が少なすぎる、と不安で心が乱れたから。
「――何?俺になら相談していいって?」
サトリは何も言っていない筈。ずっと前を見て運転していたルンが、尋ねてくるのは。
「あ…。コノイトさん俺の心読んだ」
「読まれたくなかったらもっとガード固くしろ。――あのさあ。前から言おう言おうって思ってたんだけど。いい加減その『コノイトさん』って止めろって。颯君のコトも何時の間にか名前で呼んでるのに、俺だけ『さん』付けで呼ばれるのっておかしくないか?」
俺小野サンより3つも年下だぞ、と言われて。
「え!?…そうなの!?」
コノイトさん俺より年上だと思ってた…。
「失礼だな。俺まだ20代だぞ。確かに精神年齢は大分俺が上だけど」
「なんだよぅ…」
口を尖らせて不満を漏らすサトリの顔が、フロントグラスにぼんやり映るのが見えて。フロントミラーを動かして確かめながら。
「アハハ。ソレがコドモだって言ってんだよ」
「コノルン…っ――」
呼んだ後、何故か言葉を失うサトリ。
「どうした?」
「――うん。――知り合う前は『コノルン』ってフツーに呼んでたのに。こうやって『友達だ』って言ってくれるようになったら。話すときに、何かこう…そんな気軽に呼んでいいのかなぁ…って。」
何言ってんだろうな、俺。
と、自分の心の整理がつかずに、説明しきれないで居るサトリに。
「アリガトな。そこまで考えてくれてるって思わなかったよ。好きにして構わないから」
「じゃあ――名前で呼んでいい?」
「また急に距離を狭めてきたな?」
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