revolutionary ~新世界~

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「――」 ルンが黙ってスプーンを置いたから、向かい側からその手元を確かめると。 「あ」 ルンの前にあった、オムライスが乗っていたはずの皿が早くも空になっていたから、慌てて壱成が立ち上がった。 「次のオムレツ焼いてくる」 10分もかからないから、とキッチンへ急ごうとするから。 「オマエが食べ終わってからでいいよ」 とルンが呼び止めるけれど。 「俺もお腹一杯になってから動きたくないし」 サイドディッシュ食べて待っててね?と、再びフェアリーエプロンを身に着けながらキッチンへ捌けて行った。 バックのリボンを器用に結んでいる後ろ姿を見送りながら、長いままでボイルされたホワイトアスパラガスにフォークを刺して、オランデーズソースを絡めて穂先から齧る。 「――」 卵黄とバターで出来たソースは、レモンと白ワインの酸味のお蔭で重さはなくて。残るのが勿体なくて思わず皿を拭うようにしながらアスパラガスの軸を齧る。 「エッグベネディクトに乗せたら美味そうだな…」 今度一緒にキッチンに立ちながらこのソースの作り方を教えて貰おうと考えながら、あっという間に30センチ弱はあるホワイトアスパラガスがルンの口の中へ消えた。 「はーい、お待たせしました…」 8分程で戻ってきた壱成は、今度はオムレツを切り開いてトマトソースを掛けるところまで終えた物を提供した。 「――って。エル大丈夫?」 目の前に再び現れたオムライスを攻略しようと、フォークからスプーンに持ち替えたルンに、心配そうに呼びかけると。 「何が?」 「イヤ…まさか居ない間に他の物全部無くなってると思わなかったから。もうおなか一杯なんじゃないの?」 ルンには倍量盛っていたはずのサラダやアスパラガスやスープが、たった8分の間に全て無くなっていた。 「美味いから全然気にならない。――って。サトリにも食べて貰えば良かったよな…」 一皿目と変わらぬペースでオムライスを食べ始めたルンを眺めながらテーブルを挟んで席に着いた壱成は。 「じゃあ、明後日の初段試験受かってたら、おめでとうで小野ちゃんの好きなモノ作ってあげようかな」 「ああでも、アイツ何喰っても『あ!――美味い!!』『…んまい』しか言わないからな…。やっぱりオマエの手作り料理は勿体ない」 「またそんなイジワル言って」 「イジワルと言えば…。アイダさんから「下着返せ」って頼まれた」
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