第1章

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「健人さん、ご両親には…説明するんですか?このこと…」 「ええ…、話そうと思います。恋も知らないまま逝ってしまって不憫だ、って、そう言ってましたから。」 「でも…相手がどんな人か知ったら、卒倒するんじゃないですか?」 「ふふっ。びっくりするでしょうね、男だって知ったら。」 「やっぱり、そこまで言わなくてもいい気がするけど…。」 「でもね、原因でもあるんですけど…兄が愛した人だし…その彼がいなかったら、兄は人を愛するっていうことを知らなかったかもしれないし…。だから…話します。きちんと話せば分かってくれるはずです、きっと。」 「そうですか…。」 「本当は、手越さんが見たままを手越さんの口から話してもらえるのが一番いいんですけど…。」 「えっ?僕ですか?」 「あっ、ごめんなさい。理想の話ですから、気にしないでください。さっき聞いた話をそのまま伝えます。両親には誤解のないように話しますから、大丈夫です。」
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