第1章

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「あの…。僕に用事があったんじゃないですか?」 と健人さんが言ってきた。 そうだ…。 「昨日、肝心なことを聞くの、忘れてました。健人さんのお兄さんの名前。」 「あっ、そういえば…僕、言ってませんでしたね。兄の名前は、マコトって言います。こういう字なんです。」 と言って、バッグからメモ用紙を出して書き始めた。 差し出された紙には「真斗」と書かれていた。 「難しくはないですけど、説明しにくいので。」 「真斗さんですか…。名前がわからなかったので、ずっと公園の人って言ってたんです。これで、もし今度あの公園で会ったらちゃんと名前で呼べます。よかった。」 「いいですね…。見えるんですよね?僕には全然見えなくて…。」 と言ってため息をついた。
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