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「あの…僕…余計なことしたんでしょうか?健人さんのお兄さんに、あんな画像さえ見せなければ、まだ生きていたはずなのに…。ちゃんと意識を取り戻せたかもしれないのに…。なのに僕は…。」
なんてことをしたんだろうって思ったら、今日出会ったばかりの人の前で泣いていた。
涙を拭こうとしたら、すっとハンカチを差し出してくれた。
「泣かないでください。自分を責めないでください。あなたは何も悪くありませんから。あなたのせいではないんです。それに…。」
「それに?」
「兄は…最後に嬉しそうな顔をしていました。そして何かを呟いていて…。一生懸命聞き取ったら…『ありがとう…。大切にするから…』って、最後のほうの言葉だけが聞き取れました。僕も両親もその意味がわかりませんでした。『ありがとう』っていうのは分かっても…なにを大切にするのか全く検討もつかなくて…。それが…やっと今、分かりました。兄はずっと待っていたんです。きっと。両親は知らないけど、僕には打ち明けてくれていた恋人を、ずっと待っていたんです。会いたくて、会いたくて…せめて一目だけでも会いたくて…。でも、一度も彼は兄を見舞いませんでした。」
「嘘でしょ?」
「本当です。来たくても来れなかったのかもしれませんが…。でも、やっぱり来て欲しかった。」
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