第1章

9/26
前へ
/83ページ
次へ
シゲに似たあの人の彼氏は、シゲとは全く性格が違うみたいだった。 シゲはそんな人じゃないもん。 そんなに冷たくないもん。 「だから…せめて写真だけでも会えて嬉しかったんだと思います。手越さん…あなたに感謝します。」 「でも、僕が見せなければ…もっと生きていたはずでしょ?」 「…時間の問題でした。徐々に体の機能が弱り始めていたようですし…。家族にしたら、一日でも長く生きて欲しいっていうのと、先が見えているのなら…後悔ばかりの気持ちで逝って欲しくないから、少しでも幸せな気持ちで逝ってもらいたいって…そう思うんです。でも、兄は植物状態ですし、具体的に何もしてあげることは出来ませんでした。だから…本当に感謝してるんです。ありがとうございました。あなたのお陰で兄は幸せな気持ちで旅立ったと思います。」 健人さんの、心からの感謝に救われた気がした。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加