始まり

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「はぁ……はぁ……」 午前六時。朝に弱い私がこんな時間に起きるのは極稀なこと。カーテンの隙間から漏れる朝日が目を眩ませる。 部屋の中は熱気に包まれ、私の背中や腕、足にはじんわりと汗が滲んでいた。 枕元に置いてあったエアコンのリモコンに手を伸ばし、スイッチを無意味に力強く押す。 機械音が鳴り、クーラーが作動した。ひんやりとした冷たい風が、汗にまみれた私を乾かしていく。 段々と冴えていく頭の中は、先程の夢のことばかりだった。 どうしてあの日の夢なんか……。 夢なのだから、さっさと忘れてしまえればいいのに、鮮明に覚えていることにうんざりする。 忘れられるはずもないか。 あれは夢であって「現実」でもあるのだから。 確かにあの女は「呪ってやる」と言って、屋上から飛び降りた。 ……思い出すだけで吐き気がする。
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