66人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ……はぁ……」
午前六時。朝に弱い私がこんな時間に起きるのは極稀なこと。カーテンの隙間から漏れる朝日が目を眩ませる。
部屋の中は熱気に包まれ、私の背中や腕、足にはじんわりと汗が滲んでいた。
枕元に置いてあったエアコンのリモコンに手を伸ばし、スイッチを無意味に力強く押す。
機械音が鳴り、クーラーが作動した。ひんやりとした冷たい風が、汗にまみれた私を乾かしていく。
段々と冴えていく頭の中は、先程の夢のことばかりだった。
どうしてあの日の夢なんか……。
夢なのだから、さっさと忘れてしまえればいいのに、鮮明に覚えていることにうんざりする。
忘れられるはずもないか。
あれは夢であって「現実」でもあるのだから。
確かにあの女は「呪ってやる」と言って、屋上から飛び降りた。
……思い出すだけで吐き気がする。
最初のコメントを投稿しよう!