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「誤解?なんだそりゃ」
「……は?んなこと言ってねぇよ」
「え、いやだってさっき「しらねぇよ、もう黙れよバカ」……」
しまった。
つい目を逸らしてしまった。
この行動で余計に怪しまれたかもしれない。
この話題はできるだけ触れてもらいたくなかったのだが…。
「…わかった」
何か言いたげな雰囲気だが、晃の返事はそれだけだった。
いろいろ聞かれると思っていたのに、少し拍子抜けだ。
…だが、あと少しで墓穴を掘るところだった。
こういう時、深く詮索して来ないのも晃のいい所だと改めて気がつき、そんな晃に誠は少しだけ救われた気がした。
変な緊張感から解放され、ほっと息をつきながら、誠はさらに酒をあおる。
(……コイツと噂されてるなんて死んでも言えるかよ)
自身の内で諌めながらも、内心この根も葉も無い噂を耳にした時にはかなり驚いた。
周りが自分と晃をそんなふうに見ていたなんて、今まではミジンコ程にも考えていなかったから。
第一に、そんなことを考えている方がおかしいだろう。
恋人云々の前に自分と晃は男なのだから。
(しかも、この俺が女役だと…?ドコ見て言ってんだか…)
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