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保健室にたどり着き、慎也に先に入ってもらうと、なにがあっても逃げ出せないように鍵を掛ける。
「…佐藤?どうしたの」
扉の前で固まっていた誠を変に思ったのか慎也が近付いてきた。
「なんでもねぇよ。…それより、」
「…?あ、ゴメン。佐藤体調悪いんだったね」
「あ?…あぁ、」
「ほら、ベッドに横になって?」
不意を突こうとタイミングを狙っていたのに、折角のチャンスが無駄になってしまった気がしてならない。
しかも、なにを思ったのか上着まで無理矢理脱がせられてしまった。
「寝るのに邪魔でしょ?」
誠の訝しげな視線に気付いたのか、もっともらしい理由をつけてシャツの釦にネクタイと、手際よく誠の衣服を緩めていく。
余りの素早さに抵抗できないでいると、今度はベルトにまで手を掛けてきて、カチャカチャと外し出した。
「!、なに、してんだよっ!」
慎也の頭と腕を押さえて、なんとか自分から離しすことができた。
「なにって……寝る時ベルトしてたら、なんか嫌じゃない?」
不服なのか、意味が分からないといったふうな顔で、唸るように答えてきた。
「…知るかよキメェな」
男にベルトなんか外され有り難がる奴なんて居るわけないだろう。
「キモい?」
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