偶然と必然

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「ふざけ…」 カチッ ―ガラガラ 「ふう~、やっと開いたあー…………」 怒りで目の前が真っ赤に染まったのと同時、場違いな大きめの声が室内を正常に戻す。 「ってうわ!!……あ、あああのその、邪魔するつもりは全く…」 不自然に絡まったままの生徒達を朱が走る顔で見つめるのは、至る所に幼い面影を残した子犬のような少年。 少年はベッドに横たわる二人の顔を目撃し、殊更顔を林檎の様に赤らめる。 「えっ…と、授業中に怪我しちゃって……」 「……………また今度、ね」 ぼそりと、誠の耳元でなにやら含みのある台詞を残しながらもベッドから退き、無表情な顔のまま慎也は少年に向かう。 「怪我、見せてみて」 慎也は、しなやかな動作で少年を椅子に導き、治療を促す。 「え!?いや!僕なんかに構わず続けて下さって結構です!」 「君が居るこの状況で?……本当にいいなら喜んで続けるけど」 「殺す」 慎也が椅子から立ち上がった瞬間に針の様な殺気がベッドの方から放たれる。 .
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